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令和元年度卒業式 日本大学学長告示

2020.03.02 Mon

令和元年度卒業式が本日令和2年3月2日に挙行されました。
卒業式の学長告示を掲載いたします。

 

令和元年度日本大学櫻丘高等学校卒業式 告示

卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんが所定の教育課程を修了されたことに敬意を表し、心からお祝いを申し上げます。
皆さんは、これまでの本校での学園生活で勉学や課外活動に勤しみ、多くのことを学んで立派に成長できたことを実感していると思います。互いに切磋琢磨し、励まし合った友人達とは、これからはそれぞれの道を歩むようになりますが、皆さんの前に広がっている大きな世界に向かって、胸を張り、自信をもって、大いに羽ばたいてください。
保護者の皆様方には、お子様の御卒業を心よりお喜び申し上げます。これまで、本校に対して深い御理解と多大な御協力を賜り、厚く御礼を申し上げます。
また、教職員の皆様には、学業はもとより、様々な課外活動などにおいても生徒たちに温かい御指導をいただき、感謝いたします。
さて、これから皆さんが歩む道で忘れないでいただきたい言葉があります。それは、日本大学の学祖である山田顕義伯爵の考え方、生き方が基となっている本学の教育理念の「自主創造」です。これは、「自ら考え、自ら学び、自ら新しい道をひらく」ことであり、学びへの姿勢を示した言葉です。
山田学祖は、欧米諸国の法律を学ぶことが主流だった明治の時代に、初代司法大臣として、西欧化への流れを安易に受け入れるのではなく、日本の文化・伝統・慣習を踏まえた法の整備に着手するとともに、日本の法学を創出するための人材育成を目指して、日本大学の前身である日本法律学校の創立に中心的役割を果たしました。このように、これからの日本の規範となる法の整備と人材育成に取り組んでいきました。
皆さんがこれから進んでいく世界は、時代の大きな転換点に差し掛かっています。東西冷戦が終了して三十年が経ちましたが、この間に世界は大きく変わりました。グローバリゼーションの拡大を経て、その反動からの「自国第一主義」が広がり、また、貧富の格差の拡大やAI(人工知能)など新技術の急速な発達、さらには政治の分断化、ポピュリズムの台頭による民主主義の揺らぎなど、いずれもこれまでの常識や一国だけでは解決することが困難な問題ばかりです。皆さんは、このように難しく見通しの立たない時代を生き抜いて行かなければなりません。
皆さん、このような時代だからこそ、本校で学んだ学びへの姿勢を忘れないでください。正解はどこにも用意されていませんし、答えも用意されてはいません。しかし、皆さんなら困難を乗り越えていく力が備わっているはずです。自らの考えで行動できる、そうした取り組みのできる人間が新しい道を切り開くことができるのです。これからも決して学びを疎かにすることなく、能力を高めるとともに、感性を磨き、新しい世界に立ち向かってください。
皆さんは社会的にも法律的にも立派な大人です。十八歳から選挙権も与えられ、自分の行動に責任を持たなくてはなりません。強い意見や大きな声に安易に従うのではなく、自分の頭で考えてから、発言することを心掛けてください。そのためには、スマートフォンからの情報だけを鵜呑みにすることなく、広い世界を見ることが必要です。自分だけの狭い殻に閉じ籠ることなく、様々な人と交流し協調性を磨き、お互いが成長するようなコミュニケーション能力を身に付けてください。世界に通用する大きな人間になるよう日々の努力を疎かにせず、成長していくことを期待しています。
結びに、保護者の皆様、お子様は、これから歩む道で日々成長していきます。どうかお子様の自主性を尊重して温かい目で見守ってほしいと思います。
卒業生の皆さん、自らの手で、素晴らしい未来をつかんでください。皆さんのこれからの御活躍を祈念して、本日の告辞といたします。

                                               令和2年3月2日

                                   日本大学学長
                                   日本大学短期大学部学長  大塚 𠮷兵衛